2011年1月3日月曜日

邪魔にならないデザインをするためには、まず先人が出世しなくてはならない

私は、デザイナーはフリーとか、インデペンデントでなくてはならない、と言うのを間違っていると思っています。
優れた技術、生産ノウハウ、品質管理、マーケティングや営業的情報が満ちあふれる企業の中のデザイナーの方が、デザインするための情報量的に圧倒的なアドバンテージがあるからです。





AppleのSteve Jobs と Jonathan Iveについて、和訳で記事を載せてくれています。
是非、企業内デザイナーは一読を

アップルの奇跡を生み出した二人:maclalala2

デザインが邪魔にならない様にする事。これがAppleのプロダクトデザインの基本と話しています。
一般的に、「デザインをしないデザイン」の様に言われていますが、これは、ジョブスがいるから成り立つ話でしょう。
企業のトップがデザインの役割を良く理解している事が重要です。


普通の企業で、技術、営業、マーケティング、生産管理など様々な影響力を持つ組織が、バランス悪い状態で製品設計に影響を及ぼす企業では、なかなかこの様な事は出来ないのでしょう。

簡単に言うと、「邪魔をしないデザイン」ではなく、「言うことを聞くデザイン」をしてしまうのです。
そう、こんな風に言われて・・・
「中身はこれだから周りのカバーを作ってくれ」
「マーケティング的に中高年が好む○○の様なデザインにしてくれ」
「生産ラインの変更が必要な設計では困る。旧製品と同じラインで作れる工数で収まるデザインにしてくれ」
「量販店からの情報は、白色が売れるので、必ず白でお願いする」
「競合製品が売れているので、スペックやデザインを似せてくれ」



では、どうすればいいか?
優れたデザインを行うためには、組織の体制から作らなければならないと思います。
日本の企業内デザイナーの初期の人たちが定年を迎える様になってから、10年以上立っていると思いますが、企業内で影響力がある要職に登れた人はいないでしょう。(デザイン部長とかではダメですよ)

いま、中堅のデザイナーは、自分の会社が優れたデザインを市場に投入出来る環境を整えなくてはならないのです。

つまり、出世しろと言う事です。
デザインの権限を保ち全組織を動かし、良い製品を作り出す命令が出せる立場です。


企業において、ジョブスの様な存在になる事もデザインの仕事だとおもいます。
そのためには15年くらいデザイナーを辞める必要がありそうですが、今始めなければ、いつまで経ってもデザイナーは言われた事に従う「作業と言う名のデザイン」をし続けることになってしまいます。





ちなみにフリーデザイナーで、ある程度著名なった人で、あまりにも普通のデザインをする。
これがかっこ良く見える。これは、このデザイナーが頑張って名声を得たために、デザイン主体で製品を作れると言う事です。これは、デザイナーが責任を持つと言うことです。
しかし、これらデザイナーからは、デザイン史に残るようなデザインは生まれますが、歴史に残る製品は生まれにくいのです。


そう、フリーデザイナーは、テクノロジーやマーケティング情報が表面的なため、Appleの様な時代を切り裂く製品をデザイン出来ないのです。
デザインがわかるセンスのある人か、若いデザイナーには理解されても消費者に理解されないのです。

これがフリーでできるのは、山中俊治さんぐらいでしょうか?

0 件のコメント: