2010年12月31日金曜日

プロダクトデザインは量産と言う呪縛から逃れられるのか?

プロダクトデザインが生まれて90年。

大量生産という生産方法で均一な物で良い物をたくさんつくり消費者に届ける。
数が売れれば売れるほど、利益が出る。
利益は次に優れた量産品を作るための資本となる。

プロダクトデザイナーは、その生い立ちから、この量産という呪縛の中にいます。

しかし、例えば1万年後まだ人類の文明が存在していたとして、大量生産をしているのでしょうか?
論理思考ができれば答えは簡単です。「ノー」です。


プロダクトデザイナーのほとんどが、量産の中で良いデザインを追い求めています。
いきなり来年から、生産技術が革新するわけでは無いですが、それは、たった10年先かもしれません。
もし優れたデザイナーであれば時代や技術の変化に対し、待って従うのでは無く、先回りしなくてはならないのです。

デザイナーは、大量生産の次のあるべき姿に積極的に取り組まなくてはならないと思います。
プロダクト・オン・デマンド(Product on demand)時代のデザイナーが何をすべきか?それがヒントなのでしょう。




同じ服を着た人がいると、その服を着たくなくなるものです。
同じ携帯を持った人が隣にいたら、さてどう思うのでしょうか?
新車を買って、隣の家にも同じ車種で色まで同じ車が納車されたら、どう思いますか?

この感覚が人間の本質です。


繰り返しますが、プロダクトデザインの歴史は「たった90年なのです」
量産の前提を取り払い、その中で物に秩序を与える。それがプロダクトデザイナーです。

2010年12月26日日曜日

クラウドとコレクションと人間の欲

本、雑誌、レコード、CD、カセット、ビデオ、DVDなど、好きなものは物理的に手元に置く。
「コレクション」は人間の本能に近い欲の一種だと思っています。



しかし、「クラウド」という大きな波が押し寄せて来ます。
デジタル化が可能な物の保管や流通を全て変えてしまう波です。

実はすでにその波の第一波や二波は来ています。
音楽の流通がTunesによりデジタル化されました。
これにより音楽流通の変革が行われ、音楽流通の事業を抱えるソニーグループは、その事業を保護するために流通のデジタル化に乗り遅れ、負け組として今に至っています。

そして、今度やって来る本格的な波は、デジタル保存データすら自分の手元には置かないと言う事です。

本、音楽、映像は、クラウドから、聞きたい時や見たい時に引き出す形になってゆきます。
サーバーに自分の引き出しがあると言う事ではなく、自分が持っている「権利情報」が管理されていて、高速なサーバーやネットワークインフラに支えられ、権利元や権利管理者の持つサーバーから、ストレスなく引き出せる様になると言う事です。

こうなると、自分が持っていると言う事は、物理的な物ではなくなり、権利的な情報になるということです。
なんとなく寂しい気がします。
私は旧世代の人間として扱われる様になるのでしょうが、コレクションは、その人の人格を表す一つの方法であり、自己を顕示するための手段であり、人間の本能だと思っています。

しかし、この時代が正しいとすると、「コレクション」という価値の表現方法が変わる事になります。
書斎にある大量の蔵書やCD、DVDが全く無くなった時代に、自分のコレクションを自分や他人に確認してもらう『新しい仕組み・方法』が必要です。

そして、これは、ものすごい大きなビジネスチャンスである気がします。もちろん私も取り組みます。

なぜなら、このコレクションまでiTunesに取られてしまうのは、何か違う気がするからです。

SONYさんを始め日本の大企業は、また乗り遅れない様にお願いします。
クラウドにより、人間の欲の形も変わるという事を・・・たぶん。